すみれ(菫)

吉本隆明/詩/大正炭鉱闘争/共産主義者同盟叛旗派/

吉本隆明『擬制の終焉』と『自立の思想的拠点』

吉本隆明擬制の終焉』(現代思潮社、1962)と『自立の思想的拠点』(徳間書店、1966)とが、私がずっと注目してきた吉本隆明の政治的著作だ。『擬制の終焉』には、「擬制の終焉」、「前衛的コミュニケーションについて」、「葬儀屋との訣別」など、『自立の思想的拠点』には、「自立の思想的拠点」、「思想的弁護論—六・一五事件公判について」、「情況とは何かI〜Ⅵ」、「日本のナショナリズム」などが収められている。あまりに情況に根差しすぎているし、個に押し寄せてくる情況にしか関心のなかった吉本は政治運動の波があらかた去ったらそれらはほっぽり出すので、その後の運動論は何もないが、これらの時期の著作で政治運動の未来と展望のほとんどを予言しつくしている。60年安保闘争→68年の流れや党派間抗争の流れを共に抑えながら読むことが重要だ。