すみれ(菫)

吉本隆明/詩/大正炭鉱闘争/共産主義者同盟叛旗派/

(分かってもらえる自信がないこと)

分かってもらえる自信がない。けど、書く。吉本隆明の言っていることを分かっている人はいるのか。アニー・エルノーやピエール・ブルドゥーが言うフレーズを、私以外に分かる人はいるのだろうか。アニー・エルノーも、ブルドゥーも、分かってもらえないことを形式化させた。出身階級、意識上の安定圏たる論理的な思考があまり通用しない階層と、知的な上層階層との隔たりということの中で、言語や了解、信じるということについて我々は徹底的に問いをぶつけられてきたのだ。私の過去過ごしてきた街で、私の書いたものを読解してくれる人はいない。「書くとは裏切ったときの最後の手段である」(ジャン・ジュネ)。それでも、受け取ってくれる人はいるかもしれない。論理的な思考があまり通用しない階層でその幼いころに自我を形成してきた我々は、書くということについて、一回考えざるを得ないのだ。